看護師が人工透析で行う三つのシャント観察項目

人工透析を行うために造設された血管のシャントは、患者の命綱ともいえる重要なものです。この血管に狭窄や閉塞が起こってしまうと、血管を広げる手術をしたり、新たにシャントを造設したりしなければなりません。シャント血管にトラブルが起こると、患者の体に負担をかけるだけでなく、最悪の場合には死を招いてしまいます。そのため、シャントの状態をこまめにチェックすることが必要です。

シャントの具体的なチェック項目は主に三点です。第一に、前回の透析時に針を穿刺した部分を見て、赤みや腫れ、痛みがないか確かめます。これは、前回の透析で感染していないかを確認するために行います。第二に、聴診器でシャント血管の音を聴いて、血管が狭窄していたり詰まったりしていないかを確認しましょう。このとき、ザーザーなど血液が流れる通常の音なら安心です。ヒューヒューやキュンキュンといった高い音が出たり、音がたびたび弱まったりする場合は、シャントが狭窄している可能性が高いでしょう。

最後に、シャントの振動の有無を確認します。皮膚の上からシャントに触れ、シャント特有の振動があるか、振動が弱くなっていないかなどを確かめます。振動がないと閉塞が、弱まっていると狭窄が考えられ、透析に必要な血液量を送り出すことができなくなってしまいます。狭窄や閉塞が起こる原因は低血圧症や感染などさまざまですが、突然起こることは少なくほとんどの場合で前兆があります。透析時に看護師側でチェックすることも大事ですが、患者にも毎日確認するように促すことで、早期発見が可能となります。